Amazon Marketing Cloud(AMC)は、広告や販売データの分析に特化した強力なツールとして、マーケティング担当者の間で注目を集めています。その中でも、有料のデータセットを購入できるPaid Featuresは、AMCの分析機能をさらに強化し、オーガニックな購入行動や広告の影響をより詳細に把握することを可能にします。
本記事では、Paid Featuresの概要やその利用方法、活用事例についてわかりやすく解説します。
AMCについてはこちらの記事もご覧ください。
目次
Paid Featuresとは?

Paid Featuresは、Amazon Marketing Cloudの標準機能に加え、高度なデータセットを提供する有料オプションです。これにより、広告に触れていない顧客の行動やオーガニックな購入データの追跡が可能になります。また、広告接触と非接触の顧客を直接比較することで、広告効果を多角的に評価することができます。
日本でPaid Featuresから購入できるAmazon Insightsは、主に以下の2つのデータセットで構成されています:
- Amazon Flexible Shopping Insights:オーガニックな購入やカート追加などの非広告接触データを提供。
- Amazon Audience Segment Insights:顧客の興味・関心やライフイベント情報を含む詳細なセグメント分析を可能に。
これらのデータセットにより、顧客理解の深度を大幅に向上させることができます。
アメリカではさらに、自動車業界向けに設計され、広告と実際の車購入を紐づけたインサイトを提供するExperian Vehicle Purchase Insightsや、広告と実店舗への訪問データを結びつけ、オンラインからオフラインへの効果測定を可能にするFoursquare Store Visit Insightsが提供されており、日本でも今後順次このような3rdパーティデータセットが拡充されることが期待されます。
Amazon Insightsの詳細

1. Amazon Flexible Shopping Insights
このデータセットには、オーガニックな購入行動を追跡できるシグナルが含まれています。AMCの標準で利用できるconversionsというデータセットでは、過去28日以内に広告接触したユーザーのみのコンバージョンイベントを分析可能です。ただし、定期便経由のコンバージョンデータは含まれていません。このため、広告のみの分析には問題ありませんでしたが、自然売上を含むLTV分析やRFM分析などは行えませんでした。
Amazon Flexible Shopping Insightsを導入すると、新たに利用可能になるconversions_allというテーブルには、広告接触有無を問わず、定期便経由のコンバージョンも含むすべてのコンバージョンイベントが格納されています。
これらの追加データを活用することで、顧客生涯価値(CLTV)やブランド別のリピート購入率、定期便利用率の比較分析が可能になり、より包括的な顧客行動の理解が得られます。

2. Amazon Audience Segment Insights
このデータセットでは、5000万人を超えるAmazonユーザーそれぞれの興味関心や行動特性を把握するためのセグメント情報を利用できます。これを自社の購買データや広告データと突合することで、自社顧客が特徴的に有するAmazonセグメントを分析したり、特定セグメントへの広告のリーチカバレッジを計測することが可能です。
Amazon Insights活用事例
Amazon Insightsを利用することで、以下のような具体的な成果を得られます:
- 顧客生涯価値(LTV)の把握
定期便を含む自然売上のデータを活用することで、AmazonでのLTVを計測可能になります。このデータを基に、同様にAMCで計測できるN-CPA(新規顧客の広告獲得単価)とのバランスを分析し、広告の投資対効果を評価するほか、投資回収目標に応じた適正な広告予算の策定に活用できます。

- 顧客の興味・関心セグメント分析
Audience Segment Insightsと自社の購買データを統合することで、自社のロイヤルユーザーが特徴的に有しているAmazonセグメントを分析可能(アフィニティ分析)です。これによって広告キャンペーンのターゲットプランニングやクリエイティブ制作にも活用できます。

Ubun BASEのAMCレポート機能について
Ubun BASEでは、Amazon Insightsに対応した多様なレポートを提供しています。これらのレポートを利用することで、以下のような詳細な分析が可能になります:
- リピート分析:顧客の再購入パターンを分析し、リピート率や定期購入の利用状況を把握
- ARPU分析:1人当たりの平均収益を計測し、収益向上施策を検討
- RFM分析:顧客の購買行動を基に、リピート頻度や購買金額を評価
- アフィニティ分析:自社ユーザーとAmazonセグメントとの親和性を定量的に評価
- ブランドレポート:ブランドプロモーションの効果を多角的に分析
これらのレポートを活用することで、顧客行動の理解が深まり、より精度の高いマーケティング施策を実施することが可能になります。ぜひ、Ubun BASEのAMCレポート機能をご活用ください。
Amazon Insightsの導入方法と料金
Amazon Insightsは、AMCの管理画面からサブスクリプション形式で利用を開始できます。料金はアカウントごとに異なり、利用するデータの範囲や量に基づいて決定されます。具体的な価格は、AMCダッシュボードで「Subscribe Now」を選択すると確認可能です。また、30日間の無料トライアルも提供されているため、初めての利用でも安心して導入できます。

オーディエンス作成機能の無料利用について
レポートでAmazon Insightsのデータを利用するには有料サブスクリプションの登録ですが、オーディエンス作成で利用し広告のターゲティングに活用する場合は2025年3月31日まで無料で利用可能です。
Audience creation signals
You can now use Amazon paid features signals to create custom audiences without a subscription until March 31, 2025. Navigate to the audiences query editor to get started.
まとめ
Amazon Marketing CloudのPaid Featuresは、広告効果の測定や顧客行動の詳細な分析を可能にし、マーケティング施策のROI向上に貢献します。特に、オーガニックな購入行動データや興味・関心セグメントを活用することで、よりパーソナライズされた広告キャンペーンの設計が可能です。
まずは無料トライアルを利用し、AMCの可能性を体験してみてはいかがでしょうか?

株式会社ウブン PdM of UbunBASE
2007年に株式会社オプトに入社し、金融業界向けインターネット広告の提案・運用を担当。株式会社電通に出向し、大手ナショナルクライアントのデジタルメディア戦略の立案と実行に従事。2012年にオプトに帰任後、DSPや広告効果測定ツールのプロダクトマネージャーを歴任。グループ会社のスキルアップビデオテクノロジーズでは取締役として動画広告のアドテクノロジー事業を推進。2020年に株式会社ウブンに参画し、Amazon広告の自動化ツール「Ubun BASE」を立ち上げ、開発とマーケティングを統括。