Amazon Marketing Cloud(AMC)は、データ分析とマーケティング最適化のための革新的なプラットフォームです。本記事では、AMCの基本的な仕組みや利用方法について詳しく解説します。AMCを活用することで、広告キャンペーンの成功率を向上させ、顧客インサイトを深く理解するための具体的な戦略を構築することが可能です。
目次
AMCとは
AMCは、Amazonが提供するデータクリーンルーム型のプラットフォームであり、広告主がAmazonの膨大なデータセットを活用して高度な分析を行うためのツールです。

主な特徴
- Amazon Adsのイベントレベルデータを活用
AMCでは、Amazon スポンサー広告とAmazon DSPの配信データがデフォルトで連携されており、詳細な広告イベントデータを分析することが可能です。これにより、顧客がどのように広告と関わるかを深く理解し、広告パフォーマンスを最大化するためのデータ駆動型の戦略を構築できます。広告のクリック、インプレッション、コンバージョンの関連性を分析し、広告活動の効果をより正確に測定できます。 - 1stパーティデータや有料のデータセットとの統合
AMCでは、Amazonが提供する有料のデータセットや自社のECサイトの購買ログなどの1stパーティデータを統合して分析できます。これにより、顧客の購買行動や閲覧履歴を多角的に把握し、より精密なマーケティング施策を展開することが可能です。たとえば、特定の商品の購買パターンを明らかにして、新たなターゲット層を発見できます。 - オーディエンス作成と広告配信
AMCはレポートだけでなく広告配信にも活用できます。特定の条件に合致する顧客グループを作成し、Amazon スポンサー広告やAmazon DSPを通じてターゲティング広告を配信します。これにより、広告が適切な顧客に表示され、リーチ効率が向上します。さらに、得られたデータを基に広告戦略全体を最適化することが可能です。
詳細については公式ページをご覧ください:Amazon Marketing Cloud公式ページ
AMCの操作方法
AMCには一般的なレポート画面が存在せず、必要なデータを取得するためにはSQLクエリを自ら作成する必要があります。この独自の操作方法により、分析者の柔軟性が高まり、標準的なレポートでは得られない詳細なインサイトを取得可能です。

操作の特徴
- SQLクエリによる高度なカスタマイズ: データ取得にはSQLクエリを用いるため、特定のニーズに合わせた詳細なレポートを作成することができます。
- 提供されるサンプルクエリと学習リソース: 初心者でも利用を始めやすいよう、Amazonや認定パートナーがサンプルクエリや学習リソースを提供しています。
AMCを効果的に活用するには、SQLの知識とAmazonのデータセットに対する深い理解が求められます。これらを活用することで、精度の高い広告戦略の設計が可能になります。
注意事項
- データのエクスポート制限: イベントレベルデータをそのままエキスポートすることはできません。必ず集計データに加工する必要があります。
- 個人を特定できる分析は不可: 個人を特定できるほどn数が少ない分析を行うと、分析結果は空になります。
- User IDの扱い: User IDを使用してリーチやフリークエンシー(FQ)分析を行うことはできますが、個別のUser IDを取得することはできません。
このような制約を理解しながら、AMCの柔軟性を活かして効果的な分析を行いましょう。
AMCのレポート例
1. LTVとN-CPAの把握
AMCを使用して、顧客のライフタイムバリュー(LTV)と新規顧客獲得単価(N-CPA)を分析できます。LTVは顧客が企業にもたらす生涯の利益を示し、N-CPAは新規顧客獲得のために必要なコストを示します。この分析により、キャンペーンの投資対効果を正確に評価し、長期的な戦略の改善に役立てることができます。分析結果を基に、予算配分を最適化し、収益性の高い顧客層をターゲットにする戦略を構築します。

※LTVの分析をおこなうには有料のデータセットであるAmazonインサイトの導入が必要です。
2. 適正フリークエンシーの把握
広告の接触頻度別のパフォーマンスを詳細に分析することで、費用対効果を最大化するための適正なフリークエンシーについて深い洞察を得ることが可能です。この分析では、各接触頻度ごとに成果指標を比較し、頻度が購買意欲やコンバージョン率に与える影響を明確化します。

AMCのオーディエンス例
1. シミラーオーディエンス
既存顧客の行動データをもとに、類似の行動パターンを持つ新規顧客をターゲティングする方法です。AMCを活用すれば、購買傾向が似ている顧客層に効率的にアプローチでき、新規顧客の獲得を加速させることが可能です。例えば自社の商品を繰り返し買っているロイヤルユーザーをシードとしたシミラーオーディエンスによって新規ユーザーにアプローチします。
2. 動画とバナーのメディアミックス配信
動画広告を一定回数以上視聴完了したユーザーに対して、バナーやスポンサー広告を組み合わせてメディアミックスのアプローチを実施します。まず、動画広告でブランド認知を高めた後、バナー広告で具体的な製品情報を提供し、ユーザーに次の行動を促します。この戦略により、複数の広告フォーマットを効果的に組み合わせることで、消費者の購買意欲を高め、最終的なコンバージョンに繋げることが可能です。
AMCを利用するには
1. Amazonの営業担当を通じてアカウント開設
AMCを利用するには、Amazon Adsマネージドサービスの営業担当者を通じてアカウントを開設します。このプロセスでは、必要な資格条件を満たしていることを確認し、適切な手続きを進める必要があります。AMCの利用は一部の企業に限定されており、利用には特定の条件を満たす必要がある点に留意してください。
2. AMCアカウントを保有するAmazon認定パートナー内にインスタンスを開設
AMCアカウントを保有するAmazon認定パートナーのアカウント内に専用インスタンスを開設する方法もあります。Amazon認定パートナーには、広告代理店やECコンサルティング会社が含まれ、専門的なサポートや運用支援を受けながらAMCを効率的に活用できます。
3. パートナーツールを使う
AMCをより効果的に利用するためには、Ubun BASEなどのAmazon認定パートナーが提供するツールを活用することが重要です。これらのツールを導入することで、AMCのインスタンスが開設され、専用のレポート機能やオーディエンス作成機能が利用可能になります。このように、ツールを活用することでAMCを簡単に操作し、高度なデータ活用が可能となります。
Ubun BASEのAMC機能
- 自動的にAMCインスタンスを開設: Ubun BASEを導入しスポンサー広告アカウントを接続すると、自動的にAMCインスタンスが開設し利用可能な状態にします。
- レポートの自動化: AMCデータを使ったレポートが自動生成され毎日更新されます。これによってSQLクエリの知識がなくても、AMCデータからインサイトを得ることができます。
- ノークエリでオーディエンス作成: SQLを記述する必要なく、クリック操作だけでターゲットオーディエンスを作成し、すぐに広告配信に活用可能です。
まとめ
AMCは、マーケティング施策をデータに基づいて最適化し、広告効果を最大化するための強力なツールです。その柔軟性と高度な分析能力を活かすことで、ビジネス成果をより効率的に向上させることができます。
特に、Ubun BASEのようなパートナーツールを活用することで、より効率的かつ効果的な運用が実現します。ぜひAMCの導入を検討し、新しいマーケティングの可能性を広げてください。

株式会社ウブン PdM of UbunBASE
2007年に株式会社オプトに入社し、金融業界向けインターネット広告の提案・運用を担当。株式会社電通に出向し、大手ナショナルクライアントのデジタルメディア戦略の立案と実行に従事。2012年にオプトに帰任後、DSPや広告効果測定ツールのプロダクトマネージャーを歴任。グループ会社のスキルアップビデオテクノロジーズでは取締役として動画広告のアドテクノロジー事業を推進。2020年に株式会社ウブンに参画し、Amazon広告の自動化ツール「Ubun BASE」を立ち上げ、開発とマーケティングを統括。